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先日店に電話がかかってきた。「久しぶり~!俺だよ!わかる~?」・・・はて?誰だろう。と考えると、ふと思い出した。「お久しぶりです!Wさんですよね!」「そうそう!俺のこと忘れちゃったのかと思ったよ!」と向こうのテンションも上がる。積もる話はいろいろあったのだが、彼は急に切り出した。誰にも言うなよ、と何度も念を押した上で。
彼の友人が某お笑いタレント養成所の裏方をしている。で、今札幌に大物のお笑い芸人がいるのだが、女性を紹介してほしい、とのこと。綺麗に書けばこうなるが、要は夜のお相手を探しているとのことだ。Wさんは東京の人だから、札幌に知り合いはいない。それで私のことを思い出したと。そんな女性はいない、と言うと、じゃあ、お前はどうだ?と畳み掛ける。ただじゃない、200万払うというのだ。
いろいろ失礼なことも言われたし、卑猥な話もされた。しかし、私の頭の中ではWさんだと思い込んでいる。なぜかおかしいとは思わなかった。確かにお金は欲しいが、付き合っている人や家族のことを考えて、丁重に断った。
電話を切ったあと、いろんな人に話して、「それは詐欺だよ。」とみんなに言われ、やっと何か危険なことに巻き込まれそうだったことに気づいた。「オレオレ詐欺」に引っかかるお年寄りの気持ちがわからないと思っていたが、案外自分が一番騙されやすいのではないかと赤面した。何かおかしいとは思ったものの、Wさんだと信じ込んでいた自分の頭の固さにも驚いた。いろんな詐欺があるのものだ。次に電話があったら録音して警察に突き出してやると息巻いていたが、残念ながら以後電話はかかってこない。
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